月次報告書のレベル
管理会社はどこも毎月の業務報告書を提出するはずですが、報告のレベルは各社ごとに違いがあります。 ひどいところだと薄っぺらい会計報告だけして終わりというところさえあります。
新しい管理会社を選ぶ際は、いったいどのぐらい内容の充実した月次報告をしてくれるのか、 事前にサンプルを提出してもらうなどして実力を探ってみるといいでしょう。
月次報告は大きく2つの内容に分けることができます。
会計報告とそれ以外の事務報告です。
会計報告であれば、収支報告書や賃借対照表といったところの提出は当然として、未収金の督促状況や通帳の写しなども添付してもらいたいところです。 滞納者の一覧や会社による督促の状況がわかれば、理事会で今後の対応を協議できるし、改善案も出しやすくなります。
また通帳の写しがあればお金の流れを把握しやすくなり、管理会社がマンションのお金を勝手に下ろしているようなことがないかもチェックできます。
一方、事務報告であれば次の点を網羅していれば安心です。↓
- 1.管理員実施の建物巡回報告
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当然これは提出してもらわなければならないものです。
管理員の仕事ぶりを評価する材料ですし、報告書をもとに理事会で問題箇所の改善案を協議します。 - 2.入退去者および区分所有者変更の報告
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居住者に変更があったとき、管理会社はそれを速やかに組合に報告する「ことになっている」のですが、 やろうとしない会社も多いようです。
かくして理事会の方でも、今誰がマンションに住んでいるのかわからないといった事態に陥ってしまいます。 こんなことが正常であるはずがありません。
- 3.駐輪場・駐車場の契約変更の報告
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駐輪場・駐車場の利用者が変わったときも、管理会社はそれを速やかに組合に報告しないといけません。
これをおろそかにしていると、そのうち駐車場の契約状況を正しく把握できなくなり、 入金額が間違っているのに誰も(管理会社さえ!)気付かなかったという事態が起こり得ます。
- 4.設備点検報告
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設備に異常がなかったのか、そもそもちゃんと点検活動を行ったのか、 管理組合としてはきちんと報告を受けておくべきでしょう。
なお異常が見つかったときは(翌月まで報告を延ばすのではなく)、「○日以内に速やかに報告をすること」と契約書に明記しておくのも良いと思います。 その際、「壊れた箇所の写真を添付すること」としておけばさらにベターです。
- 5. 不具合部分の報告
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トビラの開閉が悪くなった、廊下の天井から雨漏りが、等の報告です。
「4」と似ていますが、こちらは「契約上の正式な点検業務には含まれていないけれど日常の業務の中で気付いた不具合」についてです。 - 6.修繕工事報告
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工事の進捗状況についても、会社から報告を受けておくべきでしょう。
居住者から「あの部分の修理はどうなってるの?」と尋ねられたとき、役員が何も答えられないようだと格好悪いですよね。 - 7.清掃業務報告
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管理員がきちんと清掃をしてくれているのかどうか、居住者にとってはとりわけ気にかかる部分です。 もっとも最近はどこの会社も清掃レベルはそれなりに高いようですが。
- 8.事故報告
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防犯への意識が高まっている昨今です。
自転車が盗まれた、不審者がうろついている等の報告を受けたら、理事会でも対応策(防犯カメラをつける等)を協議します。 - 9.緊急受付・対応の報告
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警報の誤作動などがあったとき、理事会はその経緯・原因について報告を受けておくべきでしょう。
- 10.居住者からの要望・苦情事項の報告
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マンション住人からの要望・苦情への対応を理事会で協議することも必要です。
放置すればエスカレートするかもしれません。 - 11.設備点検報告書の写し
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「4」の設備点検についての報告を補強するものです。
これは理事会に提出してもらうだけで充分でしょう。逆に言えばこれまで挙げた1〜10の項目は、全役員に配布することが望まれます。
管理会社によってはそうした報告スタイルをとっていないところもあるでしょうが、 管理組合から要望があれば応じてくれるものと思われます。