見積もりの取り方
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さて、大ざっぱに管理会社を5〜10社絞り込んだら、いよいよ見積もりを取ってみよう。
みよう。
でも見積もりって、どうやって取ればいいんだい?
いちばん簡単なのは自由提案にすることだね。
何それ?
どんなサービスをしてほしいかこちらからは何も指定せずに、それぞれの管理会社のお任せプランとして提案してもらうってこと。
で、「いくらになりますか?」と尋ねるやり方。
簡単そうだね。じゃそれでいいや。
でもそれだと各社がバラバラのサービスを提案してくるからね。
料金の比較がきちんとできなくなるよ。
そうなんだ。じゃどうしようか。
2番目に簡単なやり方としては、今の管理会社とむすんでる契約書をコピーして、料金部分を黒塗りにしたうえで、 「これと同じ条件なら、おたくはいくらでやってくれますか?」と尋ねる方法がある。
ふむふむ。
これだといちおう管理組合のほうでサービスの仕様を指定できる点がミソだね。
じゃその方法でいいや。
でもあくまで「いちおう」の指定にしかならないんだ。
というのも今の管理会社と結んでる契約書なんて、どうせサービスの大ざっぱな仕様を並べてるだけに決まってるから。
細かいとこまでは書いてない、と。
うん。そんな契約書を送って、「これと同じ条件で」とお願いしてみたところで、大した意味は無い。 向こうはそれをいくらでも都合良く解釈できるから、手抜きの温床にもなる。
手抜きは困るね。
そもそも管理会社の仕事のしかたって、どこも同じように見えて、実は会社ごとに全く違うわけ。
へぇ。
だから管理組合が当たり前だと思っていたことが、新しい管理会社にとっては全然当たり前じゃなくて、 そこら辺がトラブルの元になるんだよ。
困ったね。
じゃどうすればいいの?
そうしたトラブルを避けるには、見積もりを取る時点でサービスの仕様をカッチリ定めるしかない。 誤解も言い訳も不可能なぐらいの詳細な仕様を。
でも面倒なんじゃない、それ?
面倒というか、そもそも管理会社の実務に詳しくないとできないね。
管理組合だけじゃムリなの?
難しいと思うよ。
だってそこにこそ、コンサルを入れる意義があるんだし。
どうしても組合だけでやりたい時のアドバイスとしては?
そうねぇ、今のマンションが抱えてる問題を訴えてさ、「おたくならどう解決してくれますか?」みたいな質問をして、見積もりと一緒に回答を送ってもらうとか、せめてそんなところかなぁ・・。
Point
さて、見積もりのお願いを数社に送りました。
送りました。
あとは各社が見積もりをこちらに送ってくる手はずになってるんだけど・・
だけど?
その前に管理会社は現地調査をさせてくれと言ってくるはずだ。
実際にこちらのマンションを見たうえでないと、わからないこともあるから。
マンションの何を見にくるの?
たとえば建物の痛み具合とか、植栽にしてもどこにどんな木が植えてあるとか。 契約書や図面だけじゃわからないところを。
管理組合も立ち会わないといけないの?
そりゃそうだろうね。
マンションのどこかに受付を設置して、点検報告書なり、その他資料なり、用意して待ってればいいよ。
何か気をつけるべきポイントなんてある?
そうねぇ、できれば各社の見学時間はずらした方がいいだろう。
全社いっしょにやるんじゃなくて。
何で?
顔合わせがあると、談合が起きるかもしれないから。
管理会社って談合するの?
談合してまで仕事をとろうなんて気迫はない気もするけど、まぁ一応だよ。
ふ〜ん。
それにライバル他社の顔ぶれがわかると、向こうはそれだけ戦略を立てやすくなるかもしれないし。
と言いますと、どんな風に?
「ライバルはA社か。A社の委託費は高めだから、うちも少し高めにしても大丈夫かな」とか、 そういう余計な情報を向こうに与えてしまうかもしれないってこと。
そんなもんですか。
それが管理組合にとって損になることだって、あるかもしれないじゃないか。 だから各社から金額の提示があるまでは、情報はシャットアウトするに越したことはないんだ。
Point
さて、管理会社による現地調査も終わったら、いよいよ各社が見積もりを提出してくるはずだ。
はずだ。
見積もりの提出先は、理事長の自宅を指定しておけばいいだろう。
管理事務室に送られると、もしかしたら今の管理会社が何かの拍子で開封するかもしれないし。
念のためというわけね。
見積もりは各社からバラバラのタイミングで送られてくる。
でも開封は全社の見積もりがそろったところで一斉に行うのが良い。
何で?
届いた順にバラバラに開封すると、他社の価格を漏らす人が、もしかしたら出るかもしれない。 それだと不正な競争になってしまうから。
ってことは、理事会メンバーを疑ってるわけ?
念には念を入れとこうってことさ。
でも理事長のところに送ったら、こんどは理事長が勝手に開ける可能性がでるんじゃないの?
見積もりには封がしてあるから、開封すればバレるよ。
内緒で開けることはできない。
痕跡を残さずに開けるのは絶対にムリなの?
絶対ムリではないかもしれないけど、そこまで疑い出すと、さすがにキリがないというのはあるやね・・。
Point
見積もりを一斉に開封したら、いよいよ内容の比較に入る。
そして候補先を絞り込もう。3〜5社ぐらいに。
安いところを選べばいいってものじゃないんだよね?
もちろんだ。各社がどんなサービスを提供してくれるのか、詳細にわたって比較しないといけない。
具体的にはどんなところを?
多すぎていちいち挙げていったらキリがない。
あくまで一部を紹介するなら、たとえばこんなところ。
他にもたくさんあるんだ。
たくさんあるよ。
うちの事務所では、大体200項目ぐらいにわたって、管理会社の実力を診断していく。
200項目もですか。
そのぐらい細かく見ていくことで、はじめて管理会社の実力の比較ができるのだ。
その200項目とやら、教えてもらえると助かるんだけど。
悪いけどそれは無理だよ。
ウチはそれを商品にしてるんだから。
無料では教えられないってか。
ここがコンサルタントの一番の腕の見せ所なんだ。
どれだけ詳細に、管理会社の実力をあぶりだせるか。
ここでコンサルの質の差がはっきり出てくるよ。
専門家にとっても難しいなら、管理組合だけじゃなおさら難しいの?
難しいだろうね。大ざっぱな比較しかできずに、何となく価格で選んでしまうのがほとんどなんじゃないかな。
Point
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