総会で最終的な承認を得る
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さて、3回の選考を経て、いよいよ新しい管理会社が決まりました。
決まりました。
そしたら総会を開催して最終的な承認を得よう。
また総会?
前にもやらなかったっけ。
前回のは、管理会社の見直しを進める許可を得るのが目的の総会ね。
今回のは、新しい会社を決定するための総会。
前回のはスタートで、今回のはゴールね。
なんか気をつけることなんてある?
そうねぇ、意外とこれまでの経緯を理解してない人も多いから、「そもそもなぜ管理会社を見直そうと思ったか」、 そこから丁寧に説明しないといけないだろうね。
まずはおさらいから、というわけね。
そのうえで新しい会社を何故そこに決めたのか、説得力のある説明をできないといけない。
できないとどうなるの?
反対派につつかれて、オロオロすることになるかも。
怖いなぁ。けっこう揉めることが多いの?
それまでの広報活動をしっかりやっていたのであれば、そこまで揉めないことが多いと思うけどね。 むしろ理事会のこれまでの頑張りに感謝する人が多い。
しっかりやってないと揉めるんだ。
うん。だから広報はとても大事だと、これまでも言ってきたのさ。
Point
どんな反対意見が出てくるの?
管理会社を変更した場合、総会ではどのような反対意見が出されるのでしょうか。
いくつか例を挙げてみます。
1.「そんな大事なことを突然に言われても困る」
最も多く見られる反対意見は、「何故とつぜん言い出すんだ」というもの。
「管理会社の変更そのものに反対ではないが、やり方が唐突すぎて賛成しかねる。」
こうした意見は、こちらがいくら広報に力を入れていても、出てしまうものです。
要するにこちらが配布してきた文書を読んでいないし、これまでの経緯も知らないのです。
その場合は、「いえ、唐突じゃありませんよ。これまでずっと報告してきましたよ。」と事実を伝えれば良いだけなので問題ありません。 「あぁ、そうだっけ」と、すぐに納得してもらえるものです。
しかし本当に広報を怠ってきたのなら、理事会は厳しい立場に置かれることになります。
今の管理会社に動きを悟られないよう隠密に見直しを進める管理組合があるのですが、
その場合は必ずこうした批判にさらされるでしょう。見直しはくれぐれもオープンに進めてください。
2.「なぜ変える必要があるの?」
「今の管理会社のままでいいんじゃないの?
なぜ変える必要があるの?」
こうした反対意見が出されることもあります。
理事会にしてみれば「何を今さら」な意見でしょう。
しかし前述の通り、全ての組合員がこれまでの見直しの経緯を理解しているわけではありません。
現在の会社の問題点、契約を続けることによってこの先マンションにどういう問題が生じるか、その辺りを今一度ていねいに説明しましょう。
3.「サービスの質が落ちる」
「そんな安い委託費でまともな管理をしてもらえるわけがない。」
「質が落ちるに決まってる。」
このような不安を口にする人もいます。
そういうときは・・
- 管理業界にはまだまだ競争が存在しないため、価格が向こうの言い値で決まっていること。 つまり、委託費が高額だからサービスの質が高いわけではないということ。
- サービスの質を落とさないために、各社の見積もりを詳細に比較していること。
を説明し、理解を得ましょう。
4.「何となく不安・・・」
「会社を変えるなんて、何だか不安・・・」
「分譲時にセットになっていた管理会社の方が、何となく安心な気がする」
こうした漠然とした不安を口にする人もいます。
今の会社もそこにつけ込む形で、
「私たちであれば売り主のデベロッパーと同じ系列ですから、アフター保証などの際に有利に交渉できますよ」、
などと言ってきます。
しかし実際はむしろ逆で、大抵の管理会社は親会社を守る方向にエネルギーを使い、あなたのマンションのために親会社と厳しく交渉したりはしません。
5.「新しい管理会社の格が低い」
名のある管理会社(たとえば財閥系の大手とか)と契約しているマンションの住人に見られるのですが、 会社のブランドを重視するあまり、「格下」の会社と契約することを嫌がる人がいます。
彼らはこんな風に言います。
「そんな無名の会社と契約したら、うちのマンションの資産価値が下がっちゃうんじゃないの?」
しかしマンションの価値は、管理会社の看板で決まるものではありません。
きちんと仕事をしない会社と契約を続ける方がよほど資産価値を損なうことを理解してもらいましょう。
6.「インターネットで評判が悪い」
理事会が決めた新しい管理会社の悪評をインターネットで調べてくる人もいます。
「この会社、こんな悪い噂があるけど大丈夫・・?」
しかしインターネットではどんな会社にも悪い評判は見つかるものです。その点を理解してもらいましょう。 現在契約している会社の悪評だって、探せばきっと見つかるはずです。
むしろ理事会(専門委員会)はこれまでの広報活動の中で、自分たちの方から(新しい管理会社の)のインターネットでの悪い噂を明らかにする方が良いかもしれません。
「こういう悪い噂もあるけど、それも踏まえた上で決めたんですよ」
そんな風に先手を取ることができます。
7.「とにかく反対、何が何でも反対」
中には強引な反対をしてくる人もいます。
「委託費なんて高くていいじゃないか」とか、「今の会社のサービスが悪いとは思わない」とか、「とにかく反対してる人間が1人でもいるんだから止めるべきだ」とか。
その人物がそこまで強硬に反対する理由ははっきりしませんが、あるいは今までの理事会による見直しの進め方・説得の仕方に問題があった可能性もあります。 頭ごなしに押し付けようとすれば、相手も感情的に反発してきます。 見直しはくれぐれも温和に進めてください。
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【目次】 管理会社見直しの進め方