管理会社の仕事レベルを私たちが調査
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正式にコンサル契約を結んだら、こちらはマンションのことをさらに知るための調査に入る。
なにを調査するの?
管理会社の仕事の実態について。
書類や管理組合へのヒアリングだけじゃわからないこともあるから、自分の目と耳と足で調べるの。
007みたいなことすんの?
天井裏に忍び込もうってんじゃないけど、管理会社を訪ねていって、話を聞いたりはする。
ちゃんと仕事してるかーって訊くの?
そんな風に直球で訊くこともあるよ。
契約書に○○と書いてますけど、この業務ほんとうにやってるんですか?
って。
やってないですよ、とは言わんでしょうに。
それがけっこう言うんだね。
「できていませんね・・」って。
まぁこっちもできてないのを最初からわかって訊いてるのもあるし。
ひどい有様だな。
そんなもんだよ現実は。
契約違反どころか法令違反をしてる会社だってある。
そういうときはどう責任とってもらうの?
まぁその後の価格交渉を有利に進められるし、ひどいようならリプレイスだろうし、展開は色々ですわね。
こわい人だ。
とはいえ、主目的は管理会社の非をあげつらうことじゃなくて、管理会社が何をどこまでやっているのか、 こちらが正確に把握するところにあるんだ。
といいますと?
ふつう、委託契約書って内容がすごく薄っぺらいのよ。
だから、例えば掃除1つとっても、この階段は特別清掃の範囲に含まれることになってるのか、それともなっていないのか、
まぁそんな風に色々とわからないところが出てくる。
はっきりさせろ、と。
でないとこっちも管理会社の仕事の実態をつかめないからね。
まぁそうですな。
ただ、面白いのは、会社もその辺をよくわかってなくてさ、「たぶん含まれてないと思います・・」なんて情けない答えが返ってきて、 苦笑させられることもあるよ。
マンションに出向いて現地調査
私たちがマンションに赴いて現地調査も行います。
管理員にヒアリングをすることもありますし、建物や設備を見てまわることで、管理会社のふだんの仕事ぶりのおおよその見当をつけることができます。
例えばどんなところを見るのか、あげていくことにしましょう。↓
↑共用部の床です。契約によれば年に6回、特別清掃が入ることになっており、 また、管理会社もきちんとやっていると言っていますが、この汚れ具合では信じることができません。
↑ここもまたひどい汚れです。
↑手前と奥とで床の汚れが違います。
奥の部分は特別清掃の範囲(内廊下)には含まれないと、管理会社が考えているらしいことがうかがえます。
↑同じく共用部の床ですが、塗装がはがれています。
これはコンクリート漏水の原因になるのですが、管理会社はきちんと報告をあげているのでしょうか。
点検報告書には、毎日「異状なし」ばかり並んでいます。
↑階段のタイルが欠けています。
美観を損ねるだけでなしに、劣化も速めてしまいますが、こちらも報告をあげたように思えません。
↑鉄部がかなりさびています。軽いうちなら日常修繕で済む劣化でも、放っておけば大規模修繕が必要となります。 そのとき、本来なら必要なかったはずの負担をさせられるのは管理組合です。
↑外壁がひび割れています。このマンションにはそういう箇所が他にもたくさんありましたが、点検報告書には何も書かれていません。
↑使われていない古びたロッカーが、なぜかエントランス近くの非常に目立つ所に放置されていて、美観を大きく損ねています。 管理会社から撤去の提案はなかったようです。
ロッカーがあるのは見ればわかるのだから、あとは管理組合の責任、という考えでしょうか。 ふだん理事会をどのような姿勢でサポートしているか、想像がつきます。
↑手すりを指でこすってみたところ、思ったよりザラつきが少なくきれいでした。
この部分は日常清掃をきちんと行っているとみてよさそうです。
この部分に限らず、このマンション、日常清掃はしっかりなされている印象を持ちました。 植栽が多いため落ち葉などが散りやすいのですが、割合きれいに保たれていました。
↑しかし郵便受けの上の部分は、ほこりがこびりついてザラザラでした。
この部分は清掃をしていないと判断できます。
↑植栽の管理は、しっかりしていると感じました。 美的なことは私にはよくわかりませんが、きちんと刈り込まれ、範囲が広い割に雑草も少ないです。植栽業者はちゃんとしたところなのでしょう。
↑掲示板に、いつからあったのかわからない、古く変色した掲示物が。
気の利いた管理会社であれば、これは取り除くか交換するかします。
美観を損ねるのと、住民の注意を掲示板から逸らしてしまうからです。
↑こちらは壁に直に貼られた掲示物。 格好いいものではありませんし、塗装の剥がれの原因にもなります。 掲示板設置の提案が管理会社からあっても良かったかなと思います。
↑ルーフです。かなり汚れていました。 清掃は行っていないようです。 低い部分は脚立やはしごを使えば清掃できないこともなさそうなので、契約内容を見直すときは、この部分を特別清掃の範囲に加えてもらってもいいかもしれません。
↑裏口の階段です。写真からではわかりませんが、ここも相当に汚れていました。
特別清掃の範囲に含まれているのかいないのか、はじめははっきりしませんでした。
自分の目で直接マンションを見てまわることで、契約書の曖昧な部分をいろいろと発見できます。
↑駐輪場はわりときれいです。
しかしエントランスから離れた人通りの少ない場所にあるので、夜は少し怖そうです。
防犯について、管理会社からなにか提案があるとベターです。
こうして、現地調査や管理会社へのヒアリングを通してマンションの現状をこちらが大体つかむことができたら、 いよいよ削減に取りかかろう。
かかろう。
もっと調査することもできる
普通、私たちが行うマンションの現状調査は、
- 管理組合へのヒアリング
- 委託契約書のチェック
- 決算書のチェック
- 管理会社へのヒアリング
- マンション現地調査
- 管理員へのヒアリング
- 設備点検報告書のチェック
ぐらいですが、その気になればもっと深く分析をすることもできます。
コンサルが長期にわたってマンションを見た方が、より正確な分析をできるのは当然です。
もっとも時間をかけた例では、半年にわたって調査をしたことがあります。 その間、理事会にも複数回参加し、調査というより半年間の顧問契約のような仕事でした。
本当は毎回そのぐらいの調査をしたほうがいいのかもしれませんが、費用がかかるため、そこまではと感じる管理組合が多いでしょう。 調査をしたところで、それだけでマンションが変わるわけではないので、成果の見えにくい仕事にお金を使いたがる人はあまりいないのが現実です。
それでも1年に1件ぐらいは、徹底的に調べてくれとの依頼を受けます。
管理費削減のためというよりも、マンションの健康診断のような感覚なのだろうと思います。
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