タイル張りバルコニー床の防水工事
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さて、こうして大規模修繕を手伝うことになったわけだけど。
わけだけど。
今回のマンションでは、厄介な箇所が大きく3つあったんだ。↓
- バルコニーの防水
- 駐車場天井の防水
- プロムナードデッキの補修
バルコニーの防水
順番に見ていこう。まずはバルコニーの防水。 このマンションは築36年で、過去に2回、大規模修繕をしてるんだけど、バルコニーの防水工事は1回もしていないんだ。
それはまずいことなの?
かなりまずいと言っていい。ふつうは12年に1度か、長くても24年に1度くらいはするものだから。
何で放っておいたんだろう?
そこなんだ。そこにはこのマンション特有の事情がある。 次の写真を見てくれたまへ。↓
見ての通り、このマンションのバルコニーは、床がタイル張りなのだ。
ゴージャスだね。さすが高級マンション。
うん、ゴージャスなのはいいんだけどね、修繕という観点からいうと、これあんまり嬉しくないんだよ。 工事が高くついてしまうんだ。
何で高くつくの?
防水工事をするためには、まずタイルを全部はがしてから防水して、その後、一枚一枚はり直さないといけない。 手間がかかるうえに、タイルも特注で焼き直すから、はがすのが大変で、タイル焼くのも大変で、はり直すのも大変という、トリプルアクセルなのだ。
ゴージャスでいるのも楽じゃないんだね。
そういうこと。でもそんな贅沢な工事をしてる余裕はなかったわけ。 だから以前からこのバルコニーの修繕は、マンションにとって頭痛の種になっていた。
さて、どうしましょ。
このバルコニー問題をいっきょに解決すべく、過去に管理会社が提案したのが・・
したのが?
いっそタイルなんてやめてしまいましょう、というものだった。 全部とっぱらって、替わりに長尺塩ビシート敷きましょう、と彼らは提案した。
ほう。
この提案は合理的といえば合理的なんだ。 修繕という観点からいえば、正解といっていい。
でもゴージャスではなくなっちゃうね。
そうなんだ。だから管理組合は難色をしめした。なんとかタイルを残す方向で考えて欲しいと、管理会社に要望した。
その結果どうなったの?
どうにもならなかった。とりあえず今回はバルコニーに手をつけず先送りして、また次の大規模修繕の時に考えよう、 となったらしい。
防水工事を先送りしちゃまずいんじゃないの?
まぁね。でも当時は管理組合もちゃんと機能してなかったから、何となくそんな結論になったみたいなんだ。 未来の我々に託しましょう、みたいな。
託されるほうも困りそうだけどね。
でその後12年が経過して今に至ると。 つまり今回こそはバルコニーの防水を何とかしないといけない状況だったってわけ。
爆弾リレーが爆発したのね。
こういうのがこの仕事のいちばん難しいところだよ。過去に解決できなかった問題を、これ以上先送りはできませんという状況で、コンサルの出番となるわけ。さぁあなたが見事解決してみせてください、と期待されるんだ。
さてどうしましょう。
腕の見せどころだ。
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