コンサル方式(設計監理方式)での大規模修繕
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続いて「コンサル方式」の大規模修繕について説明しよう。
「コンサル方式」とは一般には使われない言葉で、ふつうは「設計監理方式」とか「設計施工分離方式」なんて言うんだけどね。
いやに小難しい言葉だね。
要するに「しんだん」と「設計」の2つを外部の専門家が引き受けて、工事は管理組合が選んだ別の業者に任せるというやり方のことなんだ。
外部の専門家ってどういう人のこと?
例えば一級建築士とか、それ専門の業者とか。
「大規模修繕コンサルタント」で検索すればいっぱい出てくるよ。
そもそも診断と設計だけ、何で別の人にやってもらう必要があるの?
最も中立的な立場でその2つを行えるから。
工事金額を増やしたくて過剰な診断をしたり、逆に仕事欲しさに無理に価格を切り詰めた設計を出してくるという可能性が少ない。
何で少ないの?
だって工事の金額が増えようが減ろうがコンサルに払うお金は変わらないもの。 利害関係がないぶん、ウソをつく必要が「あんまり」ないってこと。
「あんまり」って部分が気になるな。
ま、いいか。
Point
さらにコンサル方式にはメリットがある。
工事業者を選ぶ際に、専門家のアドバイスを受けられるということ。
管理組合だけで選ぶより安心だね。
うん、管理組合だけだとけっこうアバウトに選んでしまうと思うんだな。
プロならもっと深いレベルで業者を比較できる。
たとえばどんな風に?
そうねぇ、業界における評判だって知ってるし、 それに見積りを比較するのでもさ、単に価格だけに惑わされないで各項目の詳細をチェックできるさね。
具体的にはどんなところを?
たとえば見積りに不自然に安い・高い項目がないかとか、おかしな項目に費用を計上してないかとか、 ちゃっかり仕様を落としてないかとか。
ふ~ん。
他にも、現場監督のチェック体制とか、アフター保証の期間とか、安全対策とか、ゴミ処理は無料なのかとか、保険には入れるのかとか、 色んなポイントを業者に尋ねていくわけさ。
ほうほう。
建設業界に付き物の談合だって、プロなら防ぐためのノウハウをそれなりに持ってるだろうし。
談合ってそんなに怖いの?
そりゃ怖いだろうさ。出来レースを仕組まれるわけだから。
質の低い業者と、しかも割高な契約をさせられることになるよ。
でも、そんなしょっちゅう起こるわけでもないんでしょ?
いや、しょっちゅう起こるよ。 公務員の汚職なんかと違って、一部の不心得者が起こす事件じゃないから。 むしろ談合に参加しない業者が不心得者扱いされるような業界だからね。
そんなこと言って大丈夫なの?
だって業界の常識だもん。
あのね、談合って別に好きで参加するわけじゃないんだよ。
参加しないと干されちゃうから、いやいや参加してる会社もたくさんあるの。
そういうものなんだ。
絶対に談合に参加しない会社だってあるにはあるけど、むしろ異端児みたいなものだ。
相当ダークな業界なんだね。
Point
さらにコンサル方式にはもう1つ強力なメリットがある。
工事に第3者のチェックが入るってこと。外部の第3者が現場をまわって、手抜き工事をしてないか見張れるのだ。
へ~、頼もしいね。
管理会社お任せ方式とか工事業者お任せ方式だと、 チェックは身内同士で行うことになるからね。 チェックの強度という点ではこの方式が1番だろう。
Point
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