見積もりを取ろう
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さて、実績や安定性をもとに業者をいくつか絞り込んだら、見積りを取ってみよう。
いくらで工事してくれるか聞いてみるんだね。
そうだけど単に値段だけで比較するのは良くないよ。
せっかくコンサルがついてるんだから、しっかりプロの目線でチェックしてもらおうじゃないか。
どんなところをチェックしてくれるのさ?
管理組合だけでは気が付かない見積りの詳細をチェックできるね。
不自然に安い項目がないかとか、費用を計上する項目が間違ってないかとか、さりげなく仕様を落としてないかとか。
ほうほう。
加えてウチの事務所では工事業者にアンケートを送るようにしてるんだ。
その回答を見れば業者の違いが深いレベルでわかる仕掛けになってる。
どんなアンケート?
現場監督のチェック体制とか、アフター保証の期間とか、ガードマンは配置するのかとか、仮説トイレはどこに置くのかとか、 ゴミ処理は無料なのかとか、保険には入れるのかとか、まぁそんなことを尋ねるアンケート。
いかにもプロ的で良いですな。
Point
見積りを取ったら、それを比較して工事業者をさらに数社に絞り込もう。 そして絞り込んだ業者をマンションに呼んでプレゼンテーションしてもらう。まぁ管理組合と業者の集団お見合いみたいなもんだね。
ボクたちは何をすればいいの?
プレゼンには工事業者の現場担当者をつれてきてもらうからさ、 その人の雰囲気を確かめておけばいいんじゃないかな。
ナイスガイかどうかを見とけってわけね。
うん、長~い工事の間いっしょに過ごすことになる人なんだから、感じ悪い人だったら嫌じゃないか。
うん、ジェントルマンがいいね。
リチャード・ギアみたいな。
技術的な質問はコンサルに任せておけばいいよ。
見積りやアンケートだけではわからないところを色々聞いて、業者の実力を探っていくからさ。
頼もしいですな。
このプレゼンを経て、いよいよ工事業者が決まることになる。
不正を防げ 業者選定における注意
「コンサル方式」の大規模修繕において最も怖いのは、コンサルタントがリベートをもらって特定の業者を斡旋してくる可能性です。
管理組合としては専門家の意見はあくまでも判断材料の1つにとどめ、 最終的な決断は自分たちで行うことを心がけましょう。 不誠実なパートナーと巡り合ってしまった時のダメージを軽減することができます。
とは言え、少し悪知恵の働くプロであれば、もっともらしい理屈を並べたて、 自分と親しい業者を管理組合が選ぶようさりげなく誘導することだってできるでしょう。 複数の業者とコンサルがグルになっていて、出来レースを仕組むこともあります。
現実には管理組合がそうしたよこしまなコンサルタントの企みを防ぐことは難しく、 パートナーを選ぶ時点で誠実な会社を見つけるほかないのですが、 せめて次のことを心がけるといいでしょう。
1.大枠を管理組合が決めておく
候補となる工事業者を選ぶ際に、最初に管理組合のほうで緩やかな条件の絞り込みを行っておくといいかもしれません。 例えば「近隣に営業所を置く業者で、過去5年の改修の実績が○件以上」といった具合に。
まず管理組合が選定の主導権を握ることで、コンサルが不正を仕組むのを(ある程度)困難にできます。
2.業者を絞り込みすぎない
見積りに参加する工事業者の数が少ないほど、談合はまとまりやすくなります。
ある程度の数の業者をリストアップするようにしましょう。
(ただし数が多すぎると比較検討が大変になるので、せいぜい10社以内がいいでしょう。)
3.タイプの異なる工事業者を参加させる
工事業者には色々なタイプがあります。
マンション改修の専門業者、ゼネコン、小さな工務店・・・
タイプの異なる業者を見積もりに参加させると、談合が(比較的)成立しにくくなります。
4.公募を信用しすぎない
工事業者を選ぶ際に、業界紙(建通新聞など)を利用して公募する方法がしばしば取られます。
何となく透明性が高いイメージがあると思うのですが、実際はプロであれば応募の条件を調整することで、 参加してくる業者の顔ぶれをかなりの程度コントロールできます。(初めから自分と親しい業者が有利になる条件で公募をする)
公募だから安心というわけではないし、また公募を提唱するコンサルタントだから信用できるわけではないことを覚えておきましょう。
ちなみに私自身は公募という方法をあまりお勧めしていません。
工事業者側に競合他社の顔ぶれを推測させる材料を与える気がするからです。
5.見積もりは一斉開封にする
各社から提出された見積りは、たとえば理事長に送ってもらうなどしてから、管理組合でいっせいに開封するようにしましょう。 到着した順に開封していくと、価格を漏らす不正が起きやすくなるからです。
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