工事業者お任せ方式の大規模修繕を始めよう
さて、大規模修繕を工事業者お任せ方式で進めると、総会決議で決まったとしよう。
しよう。
この方式の場合、まずは管理組合がパートナーとなる工事業者を自分たちの手で選ぶことになるんだけど・・
だけど?
実はここがいきなりヤマ場なんだ。この方式では良い業者と出会えるかどうかが全てだから。 出会えれば大規模修繕は9割がた成功したようなものだ。出会えなければそこで終わり。
怖いねー。ロシアンルーレットみたいだ。
うん、マンションにたまたま改修に詳しい人でもいればともかく、素人だけで良い業者を選べと言われてもプレッシャーがかかると思う。
マンションの運命かかってるもんねぇ。
結局この選定作業に自信が持てないから 「管理会社お任せ方式」 で我慢しようという組合が多いのが現実なのだ。
良い業者を選ぶアドバイスとしては?
そうねぇ、とりあえず無難な選択をしときましょうってことかな。
マンション改修の実績が豊富で、会社の体力もあって倒産しそうにないところ。
手堅く行きましょう、と。
そう。マンション改修って、気合や情熱で何とかなる世界じゃないからね。 経験と技術が無ければ話にならないわけ。ジャンボジェットのパイロットなんかと同じで、完全に専門家の領域。
素人にやる気出されても仕方ないってわけね。
途中で倒産されても困る。
だから会社の経営状態も大きな要素になってくるよね。
Point
工事を引き受けてくれる会社の種類
工事を引き受けてくれる業者には、たとえば以下のようなところがあります。
1.マンション改修専門業者
ビルやマンションの改修を専門に引き受けている業者です。
インターネットで「大規模修繕」とか「マンション改修」などと検索すればたくさん出てきます。
専門に行っているだけあって、マンション修繕の経験は豊富でしょう。
期間中の理事会運営等のサポート※も、それなりにこなしてくれそうです。
最もオーソドックスな選択と言えるでしょうか。
※ 「工事業者お任せ方式」を採用した場合、 管理会社は組合に対して「我関せず」の態度を取ることが多く、そのため工事業者によるサポートが充実しているか、 すなわち業者がマンション管理の現場を知っているかどうかが重要なポイントになります。
2.ゼネコン(総合建設会社)
ゼネコンとはあらゆる種類の工事を引き受ける、いわば建設の総合商社です。
○○建設や○○組といった名前が付いていることが多いでしょうか。
会社の安定性は高く、優秀な人材も多く抱えています。
(とりわけ現場監督の能力には優れたものがあります。)
反対に不安な点をあげるとすれば、大規模修繕の経験がどれだけあるのかわからないこと。 大きな会社なんだから経験は豊富に決まってるじゃないかと思うかもしれませんが、 ゼネコンにとってメインの仕事はあくまで新築の工事です。
マンションの改修は業界でどちらかと言えば日陰の分野であり、多くのゼネコンはこれまで見向きもしてきませんでした。 昨今の不況で新築案件が減ってしまい、仕方なくこの世界に飛び込んできた会社も少なくなく、実は経験の点で不安があるのです。 (なお新築と改修とでは、求められる技術は全く異なります。)
管理組合のサポートという面でも同様です。
マンション管理の現場を熟知している会社はまだまだ少ないのではないでしょうか。
3.町の工務店
近所の塗装屋さんや防水屋さんといった、町の工務店です。
地域に密着したフットワークの軽さが魅力でしょうか。
反面、マンション改修の経験や会社の安定性という面では、やはり不安が残ります。
管理組合のサポートも得意としているとは言えないでしょう。
比較的小さな規模の工事であれば、安くて良い仕事をしてくれるかもしれません。
なお、少し話はずれるのですが、業者を選ぶ際にマンション居住者が知り合いの業者を推薦してくることがあります。
候補の1つとして考えておくぐらいなら構いませんが、特別に信頼をしたり便宜を図るのはやめましょう。 推薦の言葉というのはあまりアテにならないし、何かあった時には居住者の知り合いということで文句が言いにくくなる可能性もあるからです。
【次のページ】 » 2-2. 見積りを取ろう
- 2-1. まずは業者を選ぶところから ←Now
- 2-2. 見積りを取ろう
- 2-3. 総会決議を採ろう
- 2-4. 説明会を開催しよう
- 2-5. 工事の開始
- 2-6. 工事を終えて
- 2-7. 工事業者お任せ方式のまとめ