駐車場天井の雨漏りを止める 改質剤を使った防水工事

おさらいしておこう。このマンションには、工事の難しい箇所が３つあるんだった。↓

お次は２番目、駐車場の防水についてどんな苦労をがあったか聞いてほしい。

はりきってどうぞ。

これがこのマンションの駐車場なんだけど・・↓

この駐車場の天井が雨漏りしていたんだ。

あらま、高級マンションなんでしょ？

そうだよ。なのに新築して間もない頃から漏りはじめたらしい。 ひどい話だよ。

そういうのって無料で直してもらえるんじゃないの？

雨漏りがはじまったのがアフター保証の期間内だったのか、正確なところはわからない。 なにせ大昔の話で、今さら言っても仕方のないことだし。

で、その雨漏りの何が厄介だったと？

駐車場の上は通路になっているんだけど、そこがタイル張りなんだよ。↓

天井の雨漏りを直したければ、まず上の通路のタイルを全部はがして防水した後に、またタイルを張り直さないといけない。

じゃそうすればいいよ。

ところがそんな資金の余裕はない、という話なんだねこれが。

またそのパターンか。

大規模修繕をめぐる問題なんて、つまるところお金だもん。 お金があればどんな工事だってできるんだから。

せちがらいですな。

この雨漏りはずっと前から問題になってたんだけど、それに管理会社がどう対処してきたかというと・・。

いうと？

水受けパンというお皿のようなものを天井にくっつけて、雨を受ければ濡れませんよ、というものだった。↓

↑この天井にポコポコくっついてる四角いのが水受けパン。 これで雨を受けてるの。

ふ〜んなるほど。
まぁいいんじゃないの、これでも。

いいかなぁ？ 少なくとも管理組合は不満だった。見栄えが悪いし、雨漏りの箇所が増えるたびに、この水受けパンも増やさないといけない。

う〜ん。

それに天井のコンクリートには水が浸入してるわけじゃないか。 それだって放置しておくのは好ましいことではない。

じゃあどうすればいいのさ？

どうにかしてくれと今回ウチが頼まれたんだ。

どうにかできそうだったの？

本当は上のタイルをはがしてきちんと防水工事をしたいんだけど、資金的に無理な状況だった。 無理すぎてほとんど検討の余地もないぐらい。

じゃあどうすんのさ？

方法はいろいろありそうだったけど、改質剤を使うことを検討した。

改質剤？

雨漏りしている天井に、上から液状の防水剤を注ぐわけ。 すると浸透してから固まって、雨漏りの原因であるひび割れを埋めてくれるというわけだ。

これならタイルをはがさずに防水できるから、安上がりだ。

そんな便利なアイテムがあったんだ。

とは言えきちんとした防水工事ではないから、どの程度、雨漏りが止まってくれるのか不安なところもあったんだけどね。

魔法のアイテムではないってことね。

でも実際やってみたら止まったんだよ。ばっちり上手くいってくれた。

やってみるもんだね。

まさにそうだよ。これであのかっこ悪い水受けパンも撤去できて、管理組合に喜んでもらえた。 なんでこれまでの業者はこの方法を提案してくれなかったんだろう、と言っていたよ。

改質剤とやらを知らなかったんじゃないの？

改質剤はマンション改修ではなぜかあまり使われないんだけど、土木の世界では当たり前のように使われてる。 過去の大規模修繕をやったのは大手ゼネコンなんだから、改質剤を知らなかったはずがない。

ちゃんと雨漏りが止まるかわからないのが不安だったとか。

たしかに、やってみてダメでしたとなれば、余計に高くつくからね。

そうだそうだ。

でもとりあえず提案してみればいいじゃないか。提案してみんなで話し合って、是非を判断すればいいのさ。 業者が勝手に選択肢を狭めるのはよくない。

そういうもんかな。

この改質剤もね、ウチが提案して即それでいこうとなったわけじゃないんだ。 管理組合が時間をかけて文献をチェックして、これなら上手くいきそうだと判断したうえで決定したわけ。

それはそれは。

そこまでやれば、仮に水が止まらなかったとしても、管理組合だって納得できるじゃないか。

まぁそうかもだけど。

結局のところね、業者がそういう提案をしないのは、話し合うのがめんどくさいからなんだと思う。 さっさと自分たちのペースで工事を進めたい、余計な時間を食いたくない。業者ってそういうとこあるよ。

あるよ。

だから知ってることをぜんぶ管理組合に教えようとはしないの。 情報をコントロールすることで、自分たちの敷いたレールを管理組合が外れないようにする。

する。

そんなんだから管理組合もね、あんまり業者のいうことを鵜呑みにしないで、 インターネットとかで自分たちで調べる、くらいの熱意があるといいよ。 そういう意味でも管理組合主導の姿勢が大切なんだ。