費用を抑えたグレードアップ工事
大規模修繕の目的は建物の傷んだ箇所の修繕、つまり新築時の性能を維持することにあるのですが、 場合によってはさらなるグレードアップを図ることもできます。 高齢化対策としてバリアフリー化を進めたり、設備を最新の物に取り替えたりです。
アンケートで改善要望が多く提出されるのが、一昔前のラック式駐輪場です。↓
上段の上げ下げが、女性や小さなお子さんにとっては重くて大変です。
さらに後ろかご付きの自転車が下段にあった場合、自転車を持ち上げ後輪を左右に動かさないと、上段の自転車を出し入れできません。
上の写真のマンションでは、駐輪ラックの劣化はなかったのですが、 自転車の上げ下ろしは頻繁にすることであり、使い勝手の不公平を解消すべきと考え、改良工事を実施することにしました。
施工後の写真です。↓
バイク置き場を他所に移転したことで駐輪台数が増えました。
下段はスライド式のラックに、上段は垂直昇降式のラックにしています。
イダケンはこの組み合わせが一番使いやすいと思っています。
ポイントは下段ラックが横にスライドすることです。
下段を一旦横にずらしてから、上段の上げ下げができるので、下段の自転車が邪魔になりません。↓
上段は垂直にスライドするので、上げる際に力も要りません。
2段式ラックの問題点を軽減した優れモノの商品だと、イダケンは評価しています。
このマンションではニチプレという会社の商品を採用しましたが、最近では色々なメーカーが同等品を供給し始めました。 女性の方が楽に上段を利用する姿をみると、プランニングしてよかったとコンサルタント冥利につきます。
築年数のあるマンションで居住者が不満を感じやすい設備が、インターホンです。
20年ぐらい前のマンションではオートロック付きのインターホンが標準でしたが、今では性能的に古さが否めません。↓
インターホンは10年ぐらい前から、白黒モニター付きのものが出てきました。
今ではカラーモニターが標準。加えて録画機能、機種によってはエレベーターの操作が可能なものまであります。
居住者にアンケートを取ると、やはり防犯の意味でもカメラ付きの新しいインターホンを設置したいという声が多く寄せられます。
下の写真はリニューアルした最新式インターホンです。↓
モニターはもちろんカラーモニター、鍵は非接触キーと逆マスターキーの併用、留守録画機能、さらには地震速報装置付きです。 居住者の満足はとても高いものがあり、こちらとしても甲斐がありました。
最新式なんて贅沢に映るかもしれませんが、新築マンションではむしろスタンダードな仕様です。 防犯性能の向上とともに、資産価値にも影響します。費用対効果は簡単に比較できませんが、多少工事費がUPしても検討する価値は充分にあると思います。
インターホンは大体15年前後で故障が増えてきます。
大規模修繕ではなく日常修繕(小修繕)で行うことが多いのですが、大規模修繕と同時に施工することでスケールメリット&競争原理を働かせ、コストを抑えられる可能性があります。
さきほどのマンションにおいても、あえてインターホン交換を長期修繕計画よりも3年ほど前倒しにし大規模修繕として行うことで、大幅なコスト削減に成功しました。
写真のマンションでは、居住者からエントランスへの不満が多く寄せられました。↓
「他のマンションに比べ殺風景。」
「エアコンがないから夏は暑くて応接間・会議室として使えない。せっかく広いスペースがあるのにもったいない。」
当初は再塗装の計画でしたが、検討の末、少しお金をかけてグレードアップを図ることになりました。 イダケンのプランニングは次の3つです。
- エントランス天井にエアコンを付ける
- 談話スペースとして応接ブースを設ける
- 壁に木目調のシートを貼る(一級建築士が設計)
そしてこれが施工後の写真。↓
ゴージャスになり、居住者のコミュニティースペースにも利用できるようになったと好評です。
ちなみに木目調シート(ダイノックシート)は音の反響を配慮し吸音仕様としています。
このマンションは診断結果が良好で、工事のボリュームを絞り込めたおかげで、管理組合が当初考えた予算に少し加算するだけで、ロビーその他複数のグレードアップを行うことができました。
なお、私たちが長期修繕計画を作成し、近い将来積立金を改訂する必要がないことを確認済みである点も補足しておきます。 (管理会社によく見られるような甘い計画ではなく、きちんと国交省のガイドラインに沿って細かく項目の拾いだしを行って立てた計画です。)
私たちは工事金額を上げたいがためのむやみなグレードアップ提案はしません。
居住者の要望をよくヒアリングした上で、マンションに合わせた適切なプランニングをすることができます。